続編04、初 NEW


【※R15程度の性描写が含まれます】


 桜並木をもう一度通りたいと若葉が言い、指を絡ませながら、歩く。
「あのね、今日泊まりに行くってお母さんに言っちゃった」
「そう。何て言われた?」
「いってらっしゃいって、普通に……」
「さすが、若葉のお母さんだね」
 リョウはふっと笑う。
 カナダに行く前に約束をした若葉の願いは、帰国してもリョウからは何も言われることなく、 今日もいつもの約束と変わらない感じで会っていた。若葉は自分から言い難くて、 でもやはりこのままいつものように帰りたくはない。着替えはこっそり持って来ていた。

「いいよ。約束していたからな。そうとなったら急いで帰ろう」
 リョウは若葉の手を引っ張り、公園を出て駐車場へ向かった。

 マンションに着くと、これからは若葉が一人でいつでも来れるように、リョウは暗証番号などを教えた。
 部屋へあがると若葉の緊張は増してくる。
「先にお弁当箱洗わせて?」
「もちろんいいよ。ご馳走様。俺、風呂の準備してくる」
 リョウも今日はそわそわしている。一緒に入る?とも言えず、先に彼が入り、後から若葉が風呂に入った。

 新しい下着に替えたけれど、パジャマは持って来ていない。 どうしたら良いのかわからないので、下着にバスタオルを巻いてリビングへ戻った。
 リョウは風呂上がりの若葉に、冷水をグラスに注ぎ渡した。 水を飲む彼女の乾ききっていない髪を撫でる。
 若葉は帰国してから美容院へ行き、髪をダークブラウンに染め、 毛先にゆるいパーマをかけた。前髪は短く切らずに横に流し、それだけで随分と大人っぽくなった。
 リョウは、若葉の胸の辺りまである長い髪を撫で上げ、左肩の方へ流す。あいた右の首筋、肩にキスを数回落とした。
 若葉がグラスをキッチン台へ置くと、二人は瞳が重なる。続いて唇が重ね合い、徐々に深いものへと変わっていく。
 慣れないキスに、若葉は呼吸のタイミングが掴めない。
 それに気付いたリョウはキスを止め、若葉の手を引き、寝室へいざなった。


 柔らかい照明に包まれた彼女のバスタオルをリョウはそっとはずし、 優しくベッドへ横たわらせる。怖がらせないように、慎重に。
「あの、私、初めてで……」
 若葉の緊張から、もしかしてとは思っていたが、彼女にとって今からすることは初めてなんだと明確になり、リョウは嬉しかった。
 純白レースの下着に包まれた彼女に見惚れる。
「若葉、好きだよ」
「うん……」
 言い聞かせるようにリョウは囁き、焦る気持ちを必死に抑えながら、体中に口付けをした。
 優しく響くリップ音に感じながら、瞳を閉じる若葉。


 リョウの手が若葉の背中に回り、下着をはずされた。 若葉は初めて見られるのが恥ずかしくて腕で隠したけれど、やんわりとほどかれてしまった。
「可愛い」
「小さくない?」
「全然」
 リョウの言葉は嘘ではなかった。若葉の肌はしっとりと艶があり、仰向けになっても胸は崩れることなく、形よく上を向いている。 これから年を重ね、崩れてきてもそれはそれで愛しいと思うのだろう。

「ずっとこうすることばかり考えていたよ。引くだろ?」
 ふわりと大きな手のひらが胸を包み込み、少しずつ力を加えて、 指先が小さな先端を弾くと、若葉は甘い息を漏らした。下腹の奥が疼き、じりじりと熱が与えられる。
「引かない……。私もずっと同じように思っていたの」
 リョウの唇も膨らみに移動してきて、彼の舌が丸く這う。 恥ずかしいけれど幸せで、彼の首へ手を回す。人の体はこんなにも温かかったんだ。 そして男の人の体は硬くて、女の自分とは全然違うことも初めて知った。
 あの振られた先輩に何度か誘われたことはあったけれど、断って良かった。 リョウが初めての相手で良かったと心から思った。


「この先は痛いかもしれないけど、いい?」
 リョウからの問いに、若葉は小さく頷いた。
「もし、やめてほしかったら言えよ」
「うん」
 初めては痛いと周りから散々聞かされているので、それなりの覚悟はしている。 どんなに痛くても彼がしてくれることはすべて受け入れるつもりでここまできたのだ。
 リョウは素直に頷く若葉が可愛くて、何度も唇をついばんだ。 耳を食むと喉を仰け反り、細い首筋にも吸い付く。そして彼女の綺麗な脚に自分の脚を絡ませ、 中心部へとゆっくり指先を這わした。


     * * *


 リョウは精を放っても、まだ肌を重ねていたくて若葉を抱き寄せる。 身体が満たされるのと同時に心まで満たされた。若葉と付き合い、一年半と少し。 彼女は高校生だから、生徒だからとずっと我慢をしてきた。浮気することもなく、 こんなにも一途に大切に思えるのは初めてだった。我慢に我慢を重ね、 その褒美とも言える行為は、なんとも言えない幸福感がある。 けれどそれは男の自分だけで、若葉にはつらいだけの行為だったかもしれないと、罪悪感も湧く。


 若葉が初めて経験した痛みは、幸せの方が勝って、嬉しくて泣きそうだ。
 リョウに前もって言われた通り、最初は指だけでも痛かった。 途中何度も大丈夫か聞かれるたび甘い疼きが増してきて、ついにはあんなトコロをあんなコトされてしまい、 恥ずかしくて死にそうなくらいだった。でも、気持ちよかった……。


「まだ痛む?」
「痛くはないけど、変な感じ」
 若葉はリョウの胸に寄り添いながら答える。
「先生は……、リョウは気持ちよかった?」
 言い直した若葉が可愛くて「うん。めちゃくちゃ気持ちよかった」とリョウは若葉の身体を自分の上に乗せた。
「重くない?」
「重くないよ」
 リョウは遠慮がちに乗っている若葉を強くぎゅっと抱きしめ、 覆いかぶさっている彼女の頬を包み込み「もう一回してもいい?」と請う。
 そんな彼のことが若葉も愛しくて、「いいよ」と微笑み、答えた。


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2013-09-20







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